
・姿勢を正せ
姿勢を正そうが崩そうが音は声帯から発されていますので
声帯が正常に動いていれば影響ありません。
人によっては姿勢を正す事により「結果的に」背筋に力が入り、
吸気する量が減って声帯の動きがスムーズになる事はありますが日によって変動します。
姿勢が変わって音が出なくなるのであればパフォーマンス出来ません。
・お腹から声を出せ
お腹から音は出ていません。呼気の圧だけが強くなり声帯に多大なダメージを与える原因となります。
・お腹で支えろ
間違ってはいないのですがその方法を体感させる方法が大切です。
常に同じ呼気の量を維持し声帯が柔軟に動く事で大きな音や強く響く音、安定した低音が出る事を体感できれば
呼気の圧は必然的に下がっていきます。
・喉仏を下げろ
舌根を下げる事と同義なのですが、これにより起こるのは
「アコースティックギターのボディが大きくなれば低音が増す」という事です。
口の中の空間が広がれば周波数成分的に低音は増しますが、
声帯の動きを阻害する可能性の方が遥かに大きいです。
また、人によっては声帯の位置を浅く感じる事も多い為
声帯の動きが少ない段階でこのアドバイスを行うと声帯の開閉を一切使わなくなってしまう危険性があります。
・喉仏を動かすな
喉仏は浮いている骨です。呼気の圧によって上下しますし、開閉によっても上下します。
嚥下した時ほど動いてしまうのは問題ですがそれは結果論であり、
呼気の圧の調整と声帯の開閉がスムーズに行われていればそのような事は起こりません。
・口角を上げろ
人により、口角を上げることに釣られて結果的に筋肉の動きが良くなる事は一時的にはあるかも知れません。
「笑う」という行為が声帯閉鎖を伴う事を利用した形ですが
呼気の圧が強いままですと声帯に重大なダメージを与えかねません。
・口を大きく開けろ
呼気の圧がバラけてしまい音圧の不安定な歌唱になります。
・鼻腔で響かせろ
声帯がよく振動することで骨伝導が起こりますがそれは結果論ですので
それらをどう動かすかを伝える事が重要となります。
・表情筋を使え
人により、表情筋を動かすことに釣られて結果的に筋肉の動きが良くなる事は一時的にはあるかも知れません。
「口角を上げろ」と同じく、呼気の圧が強いままですと声帯に重大なダメージを与えかねません。
・頭の後ろから声を出せ
「鼻腔で響かせろ」と同じく、声帯がよく振動することで骨伝導が起こり
後頭部に共鳴を感じる事もありますがそれは結果論ですので
それらをどう動かすかを伝える事が重要となります。
どれも解剖学的・音響的な知識を持たないインストラクターによる、
「数撃ちゃ当たる」のアドバイスの弊害かと思われます。このようなレッスンが横行しております。
感覚的な筋肉の使い方と、実際の動きを判断し擦り合わせていくアドバイスをするには解剖学的・音響的な知識に加え
スポーツやリハビリ的な指導感覚も必要となります。